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サファリの大きなボンネットを開くと、エンジン排気量を表示したプラスチックカバーがあります。サファリは、外側にはエンジン排気量をどこにも書いていません。普段は見えないところにひっそりと『排気量が4800ccもあるんだぜ』とかいてあるのです。(笑) このカバーを外すと、日産最後の直6エンジン「TB48DE」が見えます。 <画像をクリックすると別ウィンドウで大きく表示します> 大きなサファリのボンネットは、この巨大な直列6気筒(ストレート6、L6)エンジンを収めるために必要なのです。 このTB48DEエンジンは、クランクシャフト長が789.9mm(約0.8m)あります。前にはエンジンで駆動するラジエータファンがありますから、エンジンの全長は1mを超えます。 余談ですが、ラジエータファンはエンジン駆動のファン以外に電動ファンが2基備わっており、赤道直下の炎天下でも大丈夫な冷却能力を備えています。 サファリが敢えて直列エンジンを搭載しているのは、先ず一つの理由は整備性にあると思います。 V型エンジンはクランクシャフトを除き、シリンダーブロック、シリンダーヘッド+カムシャフト、ロッカーカバーが2セット必要であり、その分、部品点数が増えます。左右のカムシャフトは同じように調整されていなければなりません。この点が整備性を複雑化しているといえます。直列エンジンならば、これらは1セットで済みます。世界の荒野を舞台に走り回ることを想定しているサファリですから、整備性は重要なファクタです。 ただ、直列6気筒エンジンの良さは「荒野のロマン」だけではありません。ユーザにとって一番の利点は静粛性にあります。 直列6気筒エンジンはなぜ振動が少ないのか、をちょっと考えてみたいと思います。 現在のガソリンエンジンは4サイクルエンジンで、「吸入」→「圧縮」→「爆発」→「排気」の4つのサイクルをクランクシャフト2回転(720°)で循環するように動きます。6気筒エンジンで円滑な回転をするようにするには、クランクシャフト2回転する間を等間隔に6つの気筒のサイクルを作動させるのが一番です。各気筒のズレは、720°÷6気筒=120°/気筒となります。つまり、クランクシャフトが1/3回転に1回の頻度でどこかの気筒を爆発させているわけです。 サファリのようにクルマの進行方向を向いてエンジンが配置されているのを縦置きといいますが、一般に縦置きのときに一番前の気筒を「1番気筒」と呼びます。TB48DEエンジンの点火順序は 1→5→3→6→2→4 です。これを図示すると、以下のようになります。 上図の場合、2回分を示していますから、クランクシャフトは4回転分を表示しています。 一般に直列6気筒エンジンの点火順序は「1→5→3→6→2→4」になります。上記の図だけだと、なぜこの順序で点火するのか分かりづらいので、もう少し詳しい図を準備してみました。それぞれの気筒が点火しているときに、他のピストンがどういう位置にいるかを記したものです。 上記の図を上から順番に眺めて、6つのピストンが上下する様子を想像してみてください。よ〜く眺めていると、6気筒エンジンが「シルキー6」と呼ばれている理由がわかってくると思います。 少々解説してみます。 ピストンは軽量化(TB48DEのピストンはアルミ合金製)されていると言ってもけっこう重量があります。これが上下動すると重たいエンジンといえども振動してしまいます。複数の気筒があるエンジンでは、ピストンの上下動によって発生する振動を打ち消すように各ピストンを動かすような構造をしています。このことを頭に置いて、今一度、上記の図を順番に眺めてみてください。 前後について、最上部(TDC:Top Dead Center:上死点)に居るピストンが外側(前後)から内側(中央部)へ移っています。まるで、外側から内側へ向かって「しわ寄せ」をしているかのような動きです。これの動きによって前後の振動を打ち消しているのです。 上下については、最上部(TDC)に2個のピストンが居るときに、120°ずれた位置で下へ向かっているピストンが2個、さらに240°ずれた位置で上へ向かっているピストンが2個います。これらが、前後に配置されていることによって、上下の振動も打ち消しているのです。 さらに、6つの気筒のうち、どれかが常にバルブが開いているので、吸排気に途切れが無いのです。 このように、前後と上下の振動を打ち消すようにピストンが動くのが直列6気筒エンジンの特長です。この特長ゆえに直列6気筒エンジンは「シルキー:絹のようになめらか」と言われるのであり、ドイツの高級車メーカーはこの直列6気筒エンジンに拘っているのだそうです。直列6気筒エンジンを「シルキー6」と呼ぶ理由はここにあるのです。 静粛性で利点のある直列6気筒エンジンですが、全長が長くなってしまうというデメリットがあります。例えばV型に配置すれば、直列型エンジンの約半分(実際にはクランクシャフトのコンロッドのオフセットが必要なので、気筒の直径(ボア)の半分以上のオフセット分が加わる)の長さのコンパクトなエンジンになります。エンジンがコンパクトになれば、エンジンルームが小さく出来るので限られた全長・容積を乗員スペースや荷物スペースに振り向けることができます。また、同じ大きさのエンジンルームであれば、V型にすることで依り大きな排気量のエンジンを収容することが可能となります。それゆえに、近年は6気筒以上のエンジンはV型が多くなっているわけです。 しかしながら、V型6気筒エンジンでは直列6気筒エンジンのような上記の特長は出せません。3気筒エンジンが左右にV型で並列に並んでいる構造にならざるを得ないからです。 さて、サファリTB48DEエンジンという大排気量直列6気筒エンジンの魅力はこれだけではありません。 実はエキゾーストノート(排気音)にも魅力があります。 さて、この大型のエンジン、排気量が約4.8リッターの(正確には4758cc)6気筒エンジンですから、1気筒あたりの排気量は約0.8リッター(793cc)です。一気筒あたりの排気量では、国産車で一番大きいでしょう。 日本の国産乗用車で一番排気量が大きいのは、恐らくトヨタのセンチュリーの5リッターV型12気筒1GZ-FEエンジン(4996cc)、次がトヨタLS600に搭載されている5リッターV型8気筒2UR-FSEエンジン(4968cc)あたりです。ただ、1気筒あたりの排気量は、センチュリーの1GZが12気筒エンジンなので416cc、LS600の2URが8気筒エンジンなので621ccです。ちなみに、ランドクルーザの2UZエンジンはV型8気筒4663ccなので1気筒当たり583ccです。サファリのTB48エンジンは単気筒の排気量が大きく、1気筒だけでジムニーの排気量(660cc)を大きく上回っており、いにしえのジムニー8並みの排気量があります。つまり、エンジン排気量からみるとジムニー8のエンジン6個分です。(爆) この単気筒あたりの排気量が大きいと、1回の爆風が大きいのでエキゾーストノート(排気音)が良くなります。単気筒あたりの排気量が国産で一番大きなTB48DEエンジンはエキゾーストノートの音源として国内最高のものといえるでしょう。サファリの純正の消音器(マフラー)は低い音質から高い音質まで良く解消していて排気音は静かで開発陣の苦労の跡が伺えます。それでも、アクセルを吹かしこむと大排気量直列6気筒エンジンらしい重低音音域を含む野太く力強さを感じるエキゾーストノートを発します。アクセルを踏み込んだときに、わずかにだけど気持ちよく腹にも聞こえるような重低音を含んだ「ブロロロロロ・・・」と発するエキゾーストノートは、実に気持ちよい音です。 この単気筒あたりの排気量が大きな直列6気筒エンジンは、一般道のような場所では実に大人しく静かに走ります。何処でも彼処でも「ブロブロ」言わせながら走るようなことはありません。さすがに120度等爆の直列6気筒エンジンですから、実にシルキーな加速感です。わざわざ加速感を”演出”するようなことはありません。 ひとたびアクセルを踏み込むと気持ちの良いエキゾーストノートを響かせられるのに、普段は静かに大人しい振る舞いができるのは、直列6気筒エンジンという振動が少ない方式であることが効いています。 このように大排気量直列6気筒エンジンは、廉価な直列4気筒エンジンや性能よりもコンパクトさを採用したV型6気筒やV型8気筒エンジンには無い魅力を備えたエンジンなのです。 日産の大排気量直列6気筒ガソリンエンジンであるTB型の魅力は、尽きません。 |
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何処でも彼処でもブロロロなB.K号です(笑)。 |
B.K 2008/05/04 11:02 |
ワタシもサファリにする以前までは、常時V8をドロドロでした(笑) 確かにサファリの直6の静粛性はオドロキです。ホントnakajinさん号は何処も新車の様に美しいっすね!ワタシのは・・(爆) |
pielle 2008/05/04 18:07 |
B.Kさん、コメントありがとうございます。 |
nakajin 2008/05/05 17:43 |
pielleさん、コメントありがとうございます。 |
nakajin 2008/05/05 17:52 |
直6のメリットはヒトの感性に飛び込んでくるものですから大切だと思うのです。 |
くみちょ 2008/05/05 20:21 |
くみちょさん、コメントありがとうございます。 |
nakajin 2008/05/06 09:27 |
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